自動運転車/クラウドAIに臨機応変は理解できるか?
- 想定外をどのように理解させるか?過去の事故情報をどのように理解させるか?
- 人間には簡単なことでも難しい。
http://mainichi.jp/articles/20160302/ddm/008/020/133000c
自動運転車
米グーグル過失事故 バスと接触 臨機応変の操作課題 「減速」予測外れ
毎日新聞2016年3月2日 東京朝刊
米グーグルが2月中旬、米西部カリフォルニア州での自動運転車の公道試験中に、バスとの接触事故を起こしていたことが2月29日、明らかになった。バスの動きが予測できなかったことが一因とされ、同社の自動運転車に過失があるケースは初めてとみられる。周囲の車の動きに合わせて臨機応変にハンドル操作などを行い、接触を防ぐ技術の開発や、事故の責任の在り方などの課題が改めて浮き彫りになった。【永井大介、ワシントン清水憲司】
運輸当局の資料などによると、事故は2月14日午後に発生。トヨタ自動車の「レクサス」を改造した自動運転車は、右折のため車線の右側に寄ったものの、前方に砂袋を発見。これをよけるため中央側に戻ろうとしたところ、後方から来たバスと接触した。自動運転車は時速2マイル(約3キロ)、バスは15マイル(約24キロ)で走行中で、けが人はなかった。
グーグルは2014年春から現場周辺で試験運転を行っており、これまでも追突事故などに遭っている。ただ、今回、同社は「自動運転車が動いていなければ事故は起きなかった」として過失を認めた。自動運転車はバスの減速を予想したが、想定が外れて接触したとみられる。バスなど大型車が乗用車に比べて減速しにくいことを十分に把握していなかった模様で、同社は米メディアに「将来はこうした状況に対処したい」と述べた。
米運輸省は自動運転車が実用化されれば、人為的ミスが減り、将来は死亡事故を94%減らせると見込む。今年1月には今後10年間で連邦予算40億ドル(約4500億円)を投じるほか、安全面の指針作りにも着手すると発表。官民を挙げて自動運転の実現に取り組んでいるが、今回の事故は技術的な課題があることを示した格好だ。
「他車や歩行者らの動きを正確に予測するのは難しい」。今回の事故は日本の自動車メーカーでも注目を集めている。日産自動車は18年に高速道路で自動的に車線変更する技術を導入する方針。トヨタ自動車やホンダも20年ごろの高速道路での実用化を実現したい考えで、開発競争が激化している。
グーグルがドライバーが全く関与しない「完全自動運転」を目標としているのに対し、トヨタはドライバーの判断で自動運転を選択できる技術を目指すなど各社の戦略に違いはある。ただ、自動運転でない車や歩行者との意思疎通のあり方など、技術的な課題は共通している。
自動運転で事故が起きた際の責任を負うのがドライバーか、自動車メーカーなのかなど、法律上の課題もある。警察庁は昨年10月、有識者による検討委員会を設置。法律や制度にどのような課題があるかを洗い出し、16年度から具体的な場面を想定した検討を進めていく方針だ。
■KeyWord
自動運転
「認知」「判断」「操作」などドライバーが行ってきたことを、センサーやコンピューターなどを備えた車に任せる技術。人為的なミスによる交通事故を減らし、高齢者の移動に役立てることなどへの期待があり、IT企業も巻き込んで開発競争が激化している。
日本政府は自動運転技術の目標を4段階で設定。加速、ハンドル操作、ブレーキの3操作のいずれかを自動化するのが「レベル1」で、自動ブレーキなどの技術が実用化されている。「レベル3」は全3操作を自動化しつつ、緊急時だけドライバーが対応することを想定。運転を全て自動化し、ドライバーが何もしなくてもいい「レベル4」(完全自動走行)は2020年代後半の実現を目指している。
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